新型コロナウイルス

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季節性コロナウイルスとは?

みなさんは、2020年に世界的大流行を引き起こした新型コロナウイルス以外に、人に風邪を引き起こすコロナウイルス(以下、「季節性コロナウイルス」)が4種類いることをご存じでしょうか?それらウイルスは、ヒューマン コロナウイルス(Human Coronavirus; HCoV)-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、HCoV-229Eと呼ばれており、古いものでは1960年代には発見されていて、既に人類と共存しています(下表)。

日本で発生しているコロナウイルス感染症の原因病原体

種類 学術名 発見年 グループ
季節性
コロナウイルス
HCoV-OC43 1960年代 ベータ
HCoV-229E 1960年代 アルファ
HCoV-NL63 2004年 アルファ
HCoV-HKU1 2005年 ベータ

新型コロナウイルス感染症は、無症状の方もいる一方、重症化したり亡くなってしまう方もいる恐ろしい感染症と認識されています。一方で、季節性コロナウイルス感染症は、発熱、鼻咽頭炎などの軽い症状が中心とされていますが、風邪のウイルスとして片付けられてしまうことが多く、これまであまり研究されてきませんでした。

なぜ、季節性コロナウイルス感染症は
冬に流行するのか?

2020年7月に公開されたアメリカの研究者たちによる研究(Biryukov J et al. mSphere. 2020;5:e00441-20.)において、新型コロナウイルスは高温多湿に弱いという結果が示されました。その結果を踏まえると、季節性コロナウイルスも高温多湿に弱いと考えられ、低温で乾燥しがちな冬は、季節性コロナウイルスが広がりやすい季節であろうと推測することができます。つまり、ウイルス側の特徴が季節性コロナウイルス感染症が冬に流行する要因の1つであると考えられます。

新型コロナウイルス感染症も冬に流行するのか?

今回の私たちの研究結果からは、新型コロナウイルス感染症が冬に流行すると言うことはできません。しかし、季節性コロナウイルス感染症が冬に流行していたという事実から、新型コロナウイルス感染症も冬に流行してもおかしくないと予想することはできます。人間は、地球上で珍しく先を見越して準備をすることができる生物です。冬季の新型コロナウイルス感染症の流行を見据え、以下のような準備を進めておくことが有効な手立てになると考えられます。

  • 日ごろから、新型コロナウイルスの感染リスクが高い地域・施設を把握しておき、利益が不利益を上回る場合を除いては、感染リスクが高い地域・施設を訪問しない。
  • 家族が新型コロナウイルスに感染した際に、誰がどのような役割を担うかをあらかじめ決めておく。
  • 会社で体調不良者が出た場合の消毒などの対応や人員配置をあらかじめシミュレーションしておく。

この流行状況や、一つ上の「なぜ、季節性コロナウイルス感染症は冬に流行するのか?」でもご紹介した新型コロナウイルスは高温多湿に弱い(≒低温・乾燥に強い)という研究結果、また、冬季はどうしても換気が難しくなるといった実生活上の問題点などを総合すると、新型コロナウイルスも季節性コロナウイルスと同様に冬に流行するだろうと考えることができます。では、「春になれば新型コロナウイルス感染症の流行はおさまるのか?」という疑問に対する答えは現時点ではわかりませんが、少なくとも、冬季は感染拡大を防ぐために、より一層の感染予防対策が求められると言えそうです。

おわりに

季節性コロナウイルス感染症が冬に流行する点をご紹介しました。本記事が、季節性コロナウイルス感染症や新型コロナウイルス感染症流行の予防に少しでも役立てば幸いです。

新型コロナワクチン接種後の
抗体量を測定してみました。

ファイザー社製の新型コロナワクチンを接種してから約6か月が経過しました。
ワクチン接種後のコロナ感染、いわゆるブレークスルー感染が話題になる中、3回目のブースター接種も予定されているとのことです。
そこで、実際自分の現在の新型コロナウイルスに対する抗体はどれくらいあるのか調べてみました。
やはり抗体量は低下しているのか?心配になりました。
検査会社BMLに外注検査として新型コロナ抗体IgG定量検査を依頼しています。
検査は、血液検査で行います。
今回は、クリニックスタッフ全員がが検査を受けました。
血液検査から5日後、結果がかえってきました。

① 院長
ファイザー製ワクチン2回接種から約6か月
副反応:2回目接種時に39℃の発熱あり
結果:判定 (+)   定量値 619.0 AU/ml

※基準値(-) 0.8未満

② 師長
ファイザー製ワクチン2回接種から約6か月
副反応:軽度の筋肉痛
結果:判定 (+)   定量値 1076.0 AU/ml

※基準値(-) 0.8未満


ファイザー製ワクチンを2回接種3~4週間後に抗体検査を行っています。

検査費用と方法

費用 5,500円(税込)
保険適応外となるため自費診療となります。

方法

  • 通常診察と同様にwebから予約を取る方が良いと思います。(直接来院されてもかまいません)
    できれば予約サイトのメニューから「新型コロナ抗体検査」を選択してください。当日の受付でも大丈夫です。
  • 診察と採血をします。
  • 結果はおおむね1週間後に判定できます。

「抗体」検査と「抗原」検査とは違います

よく混同されるのが抗原検査ですが、抗原検査の場合は

「今、新型コロナウイルスに罹患しているかどうか」を調べるものでPCR検査と同じような意味を持ちます。

「抗原」というのは、今回の検査では新型コロナウイルスのことで、「抗体」というのは人が新型コロナウイルスに感染した後に、体が新型コロナウイルスと戦うために作る武器のようなものです。(詳細は後ほど説明します。)

抗体検査の注意点

抗体検査は診断を目的として使用することは推奨されておりません。

「コロナウイルスに、今罹患しているかどうか」はPCR検査や抗原検査で調べます。

一般的に抗体はウイルスに感染後2週間程度経過してから上昇し始めます。

そのため、検査2週間以内に下記のような新型コロナウイルスを疑うような症状がある方は院内の感染予防のため、また診断の正確性のために抗体検査はご遠慮ください。

  • 発熱
  • 呼吸苦
  • 倦怠感
  • 喉の痛み
  • 嗅覚障害、味覚障害

また抗体検査が陽性であっても新型コロナウイルスに罹患しないわけではありません。

新型コロナウイルスに2回罹患する方もいれば、ワクチンを2回接種しても罹患(ブレイクスルー感染)する方もいます。

ただ、ワクチンを接種された方は罹患した際に重症化する可能性はかなり低くなると言われています。

抗体価についても、どのくらいの価なら発症を防げるか、など各医療機関で研究が進められています。今後蓄積されたデータから新たな指標が発表されると期待しています。

新型コロナウイルスワクチンの特徴とメッセンジャーRNA(mRNA)とは?

ファイザー社製とモデルナ製のワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)型と呼ばれるワクチンです。

今まで私たちが接種してきたワクチンは、生ワクチン(病原体そのものを弱毒化したもの)や不活化ワクチン(感染力をなくした病原体)が使用されてきましたが、新型コロナウイルスのワクチンはたんぱく質の設計図であるmRNAを投与することで免疫をつけるワクチンです。

ちょっと難しい言葉ですが、mRNAとは全ての遺伝子情報がのっているDNAから、あるタンパク質をつくるのに必要な情報だけをコピーしたものです。

例えるなら、自動車を作る際に全ての部品の設計図(自動車のDNA)から、ハンドル(作りたいタンパク質)のページだけをコピーしてハンドルを作ったとします。

その時のコピーした紙がmRNAと言えます。(伝わるでしょうか?)

このmRNAはウイルスのsタンパク部分のコピーなので(図を参照)、ワクチンを打ってもコロナウイルスに感染することはありません。またmRNAはDNAがある細胞の核の中に入ることもありませんし、そもそも人間はmRNAからDNAに変換する機能(逆転写)を持っていないのでDNAに組み込まれることもありません。そのためワクチンを打つと遺伝子が書き換えられるということもありません。

藤田医科大学ホームページより引用

ワクチンを打つと体の中で何が起こるのか?

mRNA型のワクチンは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)のmRNAが入っています。

接種により mRNA がヒトの細胞内に取り込まれると、この mRNAを基に細胞内でウイルスと同じようなスパイクタンパク質が作られ、さらに中和抗体が産生、細胞性免疫反応が起きることで、新型コロナウイルスによる感染、重症化予防ができるといわれています。

中和抗体とは?

中和抗体の前に、そもそも「抗体」とは何でしょうか?

抗体とは免疫グロブリンというタンパク質の事です。

異物と認識したものに特異的にくっつくことで、その異物を排除しやすくする働きがあります。そして一度抗体を作ると次に同じ異物が来た時に、前に抗体で戦ったことを覚えていて、最初に戦った時よりも簡単に異物を倒すことができます。

これを獲得免疫と言い、予防接種はこの仕組みを応用しています。

また「中和」とは、ウイルスにくっついて細胞に侵入しないようにする働きですので、中和抗体はそのような働きをもつ抗体ということです。

この記事を読んで抗体検査について皆さんの疑問が少しでも解決できればいいなと思っています。

抗体検査以外の発熱外来受診の患者様はホームページをご覧いただき指定した時間にお越しください。