1)症状がなくても治療は必要ですか?
糖尿病の場合、自覚症状がない状態であっても、合併症はいつ起こるか分かりません。
様子を見ていても自然に治ることはなく、治療を先延ばしにすると合併症のリスクはさらに上がってしまいますので、早期治療が大切です。
なお、糖尿病の方であっても、適正な治療で血糖コントロールができれば、健康な方と同様の生活を送ることは十分可能です。
2)食事療法で気を付けることはありますか?
糖尿病だからといって、特に食べてはいけないものはありません。
無理な食事制限は長続きしないうえに、食べたい物を我慢することが、逆に血糖値を上げる原因になってしまう場合もあります。
「間食は、洋菓子よりも和菓子を選ぶ」「揚げ物は夜ではなく、昼に食べる」という具合に食品の選び方や食べる頻度、時間などを工夫すれば好きな物を食べていただくことも可能です。
また、ついついお菓子を食べすぎてしまうという方は、袋から直接ではなく、かわいいお気に入りの容器に入れて少量を食べるようにすれば、お腹だけでなく、心も満足できるのでおすすめです。
なお、食事療法を行うにあたり、何をどれだけ食べたら良いのか分からない時は、日本糖尿病学会が作成した「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用すると便利です。
さまざまな食品の80キロカロリー分を「1単位」として栄養素別に紹介しているので、この中から必要なカロリーの単位分を、バランスを考えて摂取すると良いでしょう。
食事療法は血糖値が改善しても一生続ける必要がありますので、よく食べる食品の量や含まれる栄養素などは覚えておくと良いでしょう。
3)血液検査には2つの種類がありますが、違いはなんですか?
糖尿病の血液検査には、血糖値検査とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の二つがあります。
診断の基本となる空腹時血糖値検査は、「今現在の血糖値」を見るものであることから、食事を摂らない状態で行う必要があります。それに対し、HbA1cは、「ここ2か月程度の血糖値の平均」を見るものであり、食事の有無で数値が変わることはありません。
初めに行う糖尿病の確定診断には、空腹時血糖値の確認が必要なため、食事を摂らずにお越しいただきますが、診断がついて治療を開始した後は、HbA1cを行うことから、検査前であっても食事や薬、インスリン注射を控える必要はありません。むしろ、食事や薬を摂っていない状態で来院されると、行き帰りが危険になることもあります。当院は、無理をせず、「いつも通りのありのままの姿」で治療を進めていくスタイルですので、普段通りの状態でお越しください。
4)インスリン注射は一度始めると止めることは出来ませんか?
1型糖尿病の方は、ほとんどインスリンが分泌されないため、インスリン注射を続ける必要があります。最近では、2型糖尿病の方も膵臓を休ませる目的でインスリン注射を行う場合がありますが、治療により血糖値のコントロールができるようになれば、内服薬への変更も可能です。